坂本「蹴り上げ打法」下克上日本一へ秘策!統一球対策に“ケリ”つける

 下克上での日本一に“キック”オフ―。巨人の坂本勇人内野手(22)が20日、「蹴り上げ打法」でクライマックスシリーズ突破を目指す考えを明かした。今月上旬から、左足を上げた際に膝から先を軽くキックするように改良。以前よりフォームにタメができ、10月は打率3割3分9厘と復調した。今季、坂本が得点を記録した試合は勝率7割1分7厘。チームの勝利のカギは背番号6に託されている。

 復調のポイントは左足の上げ方にあった。坂本は確かな手応えをつかんでいた。10月は14試合中12試合で安打を放ち、59打数20安打、打率3割3分9厘。「打撃のスタイルを変えました。足の上げ方ですね。感覚は悪くないのでこれを続けられるようにしたいです」。ポストシーズンも好調を維持し、リーグ3位からの逆転日本一を目指す決意を明かした。

 今季は飛ばない統一球対策で、打撃フォームの試行錯誤が続いた。10月に入って岡崎ヘッドコーチのアドバイスもあり、左足を上げた際に膝から爪先をキックするよう改良。円を描くように踏み出すことにより、タメができたという。不調時は左足を上げている時間が短く、上体が突っ込む傾向があったが、「低めのボール球を振らない」という課題を克服。打率アップにつながった。

 トップバッターの出塁率が上がれば当然、チームの得点力も上がる。今季はチームトップの69得点を挙げた。坂本が得点した試合は通算38勝15敗7分けで、勝率は7割1分7厘。無得点に終わった場合、32勝47敗4分けで勝率4割5厘と、その差は歴然だ。「かえしてくれる人がいるので、自分だけの力じゃない。得点につながるように、何とか出塁できるようにしたいです」と意気込んだ。

 短期決戦はワンプレーが勝敗を分ける。自身の役割は十分、分かっている。「センター中心に低くて強い打球を打てるように心がけたい」。チャンスメークのための「蹴り上げ打法」で、コンパクトなスイングを徹底する。平凡なフライアウトを減らし、野手の間を襲うような打撃でプレッシャーをかけていくつもりだ。

 この日は休養日でリフレッシュに努めた。18、19日の練習(G球場)では、原監督からCSのキーマンに指名され、室内練習場で非公開の打撃指導を受けるなど、首脳陣の期待は大きい。「まだ(公式戦が)1試合ありますし、まずはそこに集中したいです」。本来の力強い打撃を取り戻した1番打者が、チームに勢いをつける。

 ◆試行錯誤した2011年の坂本の打撃
 ▽ミートポイント 昨年、打率3割を逃した要因を「低めのボール球を振ってしまったこと」と分析。変化球を見極めるため、キャンプ、オープン戦ではポイントをボール1個分あえて捕手寄りに近づけて特訓。引きつけて打つ意識を植え付けた上で、開幕に合わせて昨年の位置に戻した。

 ▽構え 昨年までは頭の高さに高々とバットを掲げて振り下ろしていたが、ボールが飛ばない今季は当てにいく意識が強くなったのか、無意識のうちにバットの位置が下がり、力強さを失った。夏場に昨年までの映像を見返し、「全然違う」と修正した。

 ▽スイングの軌道 昨年までは、変化球に体勢を崩されながら拾った打球が野手の間を抜けたが「今年はなかなか抜けない」と苦労。シーズン途中から原監督には軸回転打法の大切さを徹底的に教えられ、左肘を胴体から離さないように意識。体に巻き付くような「巻き付き打法」を導入。

 ▽カウント 昨年までは、初回の初球からフルスイングする場面が多かったが、阿部に「監督も言っていたけど、何でも振ればいいというものじゃない。そこを勘違いしてほしくない」と指摘され、狙い球を絞るようになるなど、考え方を改善した。