和田新体制で金本の打撃コーチ兼任浮上

 阪神の来季監督に和田豊打撃コーチ(49)の昇格が23日、決定した。坂井信也オーナー(63)が、南信男球団社長(56)に対し、22日からの広島3連戦中に就任要請を行い、組閣作業にも着手するよう指示していたことが分かった。新体制には、金本知憲外野手(43)が打撃コーチ兼任となる構想が浮上。完全復活が期待される打棒での貢献はもちろん、主砲育成を含めた打撃指導をアニキに託す夢プランだ。

 和田阪神の組閣構想に、夢のようなプランが浮上した。金本の打撃コーチ兼任。野手として試合に出場し打撃で貢献する一方で、若手を中心に打撃指導も行う‐。アニキの野球選手、野球人としての能力を最大限に生かすことが期待される役割だ。

 坂井オーナーはこれまで「主軸に近いところを打てる打者が、生え抜きで何人か出てきてほしい」と話し、和田新監督に託す、今後のチーム改革の柱に和製大砲育成を掲げている。その実現に必要な人材が、すでにチームの中にいるのだ。

 何よりも球団は、金本の打者としての力を評価している。22日の広島入りの際、和田打撃コーチも最近の金本の調子について「カネは今からシーズンが始まれば、相当、打つと思う。技術的なところでだいぶ(状態が)上がってきてる」と話した。

 右肩故障によって思うような結果を残せずにいた打撃は、かなりの段階にまで回復。今シーズンは相手先発が左投手の場合など、数試合に一度はベンチを温めざるを得なかったが、当然、来季は打撃面でのより大きな貢献が期待される。

 一方で、年齢的にも44歳となるプロ21年目の来季は、これまでの野球人生で培った技術、経験を、少しずつでも若手に継承してほしいという思いが球団にはある。和田コーチも、いまだに厳しいトレーニングを自らに課す金本について、「こういう姿勢は本当に若手に見習ってほしい」と話すほどだ。

 これまでも金本は後輩選手の相談に乗ったり、求められればアドバイスを送ることもあった。だが、チーム内に打撃コーチがいる以上、一選手としては表立った指導は控えてきた部分がある。今回、打撃コーチ兼任が実現すれば、何の遠慮もなく自らの後継者となるべき大砲育成を手助けできるのだ。

 球団関係者は「金本は球団のみならず、プロ野球界の宝」と話す。打者としての技術面にとどまらず、連続フルイニング出場など数々の大記録を打ち立てた肉体面、精神面などあらゆる面で、その存在自体が大切な財産だ。そんなアニキが和田阪神で打者としてもコーチとしても活躍する。ファンにとっても夢が広がる構想だ。