阪神・和田新監督会見「守りの野球目指す」

阪神は28日、新監督に和田豊打撃コーチ(49)が就任することを発表し、大阪市内のホテルで就任会見を開いた。和田新監督は午後2時過ぎに、会見場入り。黒のスーツに金色のネクタイ姿。表情を引き締めながら、報道陣の質問に答えた。

一問一答は次の通り。

 −−今の心境は

 本当に大役を仰せつかった。緊張している。今シーズンのこともある。現在の状態を考えると、うれしいとか浮かれるような要素は何一つない。このお話をいただいたときも、そちらの方が勝ってしまい、今まで歴代の監督されてきた方を何人も見てきているので、大変な仕事だなと。

 −−悩んだのか

 悩んだというか、今シーズンの成績、真弓前監督を退任させた責任もある。少し悩んだ時期もあった。

 −−決めた理由は

 子供のころから野球は好きでやってきた。ある日、阪神タイガースの比重が、野球を超える瞬間があった。ここ5、6年、優勝から遠ざかっているので、必死になって応援してくれているタイガースファンにはつらい思いをさせている。何とか阪神球団の力になりたい。応援してくれているファンの方を喜ばせたいという一心からやらせてもらうことになった。

 −−どんな野球をしたいか

 まず、ホーム球場の器にあった野球。シーズンの半分は甲子園球場でやる。広い甲子園で、投手力を含め、センターラインを強化し、守りの野球。これが理想だが、現有戦力から考えるとすぐには、明日からというわけにはいかない。少しスパイスを加えれば、十分優勝できる戦力はある。現在のレギュラーーと後半に少しずつ出てきた若手をミックスせて、新しいタイガースをつくりたい。昨日ドラフトがあったが、新人選手であったり、これから補強も考えていただけると思う。走攻守だけでなく、野球を知るというか、基本的な部分をたたき込んで…。粘り強くやっていこうと思っている。

 −−過渡期のチーム。ベテランと若手の比重はどのように考えているか

 まだまだ頑張ってもらう選手もいる。いなくなったからではなく、いるうちに力をつけて、この選手ならポジション譲っても良いというような競争をしてもらいたい。

 −−期待する選手は

 野手では鳥谷、ピッチャーでは藤川球児が中心となって、チームを引っ張ってもらえれば。現在のチームでもそういう役割を担ってもらっているが、態度だけでなく発言でもチームをぐいぐいと引っ張ってもらいたい。

 −−期待の若手は

 チーム状況もあって、最後の数試合は若手にかなりチャンスもあった。その4、5人の選手が来年の開幕にいるとはかぎらないし、あり得ない。誰というより、その中でしっかり競争で勝ち残って、新しい選手も入ってくるので、そんな選手と競争して、勝ち残って初めてレギュラーと対決というか競争していく。こいつにポジションをやってというレベルに達していないので、秋のキャンプ、春のキャンプ、オープン戦で力をつけて開幕に挑みたい。

 −(秋季キャンプの)練習は厳しくなるのか

 今年の成績うんぬんではなく、やることはたくさんある選手が集まる。攻・走・守全てにレベルアップできるようにしっかりやっていきたい。

 −ドラフト1位の伊藤については

 テレビで見ていた。あれだけ、うれしそうな表情というか、そういうものを見て、こちらまでうれしくなる感じ。とにかく早くプレーを見たい、うちの若いのに入っても十分やれる選手だと思う。

 −−理想の監督像とは

 現役が終わってからも4人も監督の下で学んだ。1人というわけではないが、タイミングに応じて、この監督ならそういう対応をするというか…。いいとこ取りではないが、その場面にふさわしい対応を。私も初めてなので、これというのができてくれば。ただ、選手には私はこういう野球をするというのは伝えて、それにのっとってやりたい。私の野球をごり押しするのではなく、広い甲子園で統一球も導入され、いろんな引き出しを持って、状況に対応できるように柔軟な姿勢を持ちたい。

 −−目標は

 現有戦力は把握している。今の戦力にいろんな意味があるが、ほんの少しのスパイス加えれば、十分優勝できる。そのスパイスが何になるか、私の考えもあるし、フロントとも相談してやりたい。

 −−全国のファンに向けて

 今年を含めて、この6年間十分な成績を残してこれなかった。3年目に優勝争いではなく、来年勝負をかけるぐらいのつもりでやっていきたい。ファンのみなさんもいろんな意見をお持ちだと思う。それを素直にぶつけていただくときもあっていい。うちの娘が1年間甲子園のスタンドで売り子をさせていただき、そこでの叱咤(しった)激励というか、罵声も含めて、いろんなことを聞いていた。私がその立場になるということで、お手やわらかにではなく、よりいっそう悪いものは悪いと言ってほしい。ファンを絶対に喜ばせるという気持ちで、これからすぐにでも野球に取り組みたい。ぜひまた応援してほしい。来年の今ごろは、みなさんで喜べるようにしたい。