工藤、引退へ「投げるたび肩壊れる」プロ30年で区切り

 前西武の通算224勝左腕・工藤公康投手(48)が22日、横浜市内で取材に応じ、現役引退を示唆した。昨年に西武を退団し、今季は無所属でトレーニングを続けてきたが、痛めている左肩の状態が思わしくなく“プロ生活30年”を区切りにユニホームを脱ぐ覚悟を口にした。

 延べ5球団を渡り歩いてきた鉄腕が、マウンドを去る日が近いことを明かした。左肘を始め、さまざまな故障と闘ってきたが、現在は左肩関節唇に炎症を抱え、来季の現役続行は厳しい状態だという。「ボールを投げるたびに肩が壊れている。野球教室で(東日本大震災の)被災地に行くたびに肩が壊れている。最終的にできなくなったとしても、被災地の方々には思いは伝わったと思っている。肩は痛いけど、やってきたことに後悔はしていない」。チャリティー活動で悪化するほどの状態だった。

 昨年で西武を戦力外になり、最後の夢としてメジャー挑戦を掲げてきた。「アメリカに行くなら(トライアウトがある)2月には肩をつくらないと投球はできない。逆算して11月には結論を出さないと」。最終的には家族とも相談して結論を出す意向だ。

 この日は、一部報道で横浜DeNAの新監督候補としても名前が挙がった。横浜は07〜09年まで在籍した古巣。報道には「実際に来ている話ではないので、よく分からない」とした上で「光栄なこと。横浜に住んでいるわけだし、横浜には強くなってほしいと思っている。話が来たら、やるかやらないかを考えたい」と指導者としての日本球界復帰に意欲を見せた。

 ◆工藤 公康(くどう・きみやす)1963年5月5日、愛知県生まれ。48歳。名古屋電気高から81年ドラフト6位で西武入団。ダイエー、巨人を経て、07年横浜移籍。昨年には古巣の西武に復帰したが、1年限りで退団。今季は浪人していた。実働29年で、635試合224勝142敗3セーブ、防御率3・45。MVP2度、最優秀防御率4度など、タイトル多数。176センチ、80キロ。左投左打。家族は夫人と2男3女。