ラミレスと複数年契約 12・2にも決定…横浜

 ディー・エヌ・エー(DeNA)社が買収した横浜が、巨人を退団するアレックス・ラミレス外野手(37)の獲得を正式に決め、交渉解禁日の12月2日にも“ハマのラミちゃん”が電撃誕生する可能性のあることが27日、分かった。25日にFA(フリーエージェント)権を行使した村田の退団が濃厚で、新生ベイスターズの4番候補として複数年契約で迎え入れる。ラミレスは26日夜に極秘で再来日。4年連続最下位からのチーム再建へ、最強の救世主になる。

 新たに生まれ変わるベイスターズが、巨人を退団するラミレスを“チームの顔”に指名した。球団関係者の話を総合すると、複数年契約を最低条件に用意。各球団の保留選手名簿が発表される12月2日に、名簿から漏れた選手は12球団との交渉が可能となるが、その2日にも速攻でアプローチする意向を固めたようだ。

 横浜は今オフ、チームの4番を担ってきた大黒柱の村田が国外移籍も可能になる9年のFA権を取得。25日に権利行使の書類を申請し、退団が濃厚となっている。最悪の事態を想定し、新外国人の獲得も含めて“ポスト村田”を探していた。来日11年間で359本塁打、打率3割3厘、1182打点と勝負強さの光る最強助っ人に白羽の矢を立てた模様だ。

 D社としては、ラミレスのファンサービス旺盛な姿勢にもひかれたようだ。本塁打を打った後や試合後のヒーローインタビューで、独自に編み出したパフォーマンスを披露し、スタンドのファンを魅了。子供たちには「ラミちゃん」と親しまれ、実力に人気も兼ね備える姿に注目した。来季、横浜のオーナーとなるD社にとって、新生ベイスターズのシンボルとしてもこの上ない存在になる。

 一方で、ラミレスは交渉解禁日に備え、26日夜に極秘で来日した。スポーツ報知の取材に応じ、「12月2日にフリーエージェントになるので、オファーをくれるチームがあれば話を聞きたい」と話し、都内の自宅に帰宅した。約16時間のフライトで、やや疲れた様子を見せた。来日した2001年から「低迷するチームを強くしたい」という気持ちで日本の野球に取り組み、01年には前年4位のヤクルトを4年ぶりのリーグ優勝に導いた。08年から巨人に移籍してからも、在籍4年間で2度のリーグ制覇、09年には日本一へと引っ張った。4年連続最下位に低迷する横浜は、ラミレスが来日時から常に抱く「強くしたい」思いをぶつける環境がある。

 今月7日に一度、米国に帰国したが、その際には「来年もまだ外野手としてプレーする自信はある。3割30本塁打も可能だ」と話した。「2000安打は日本で達成したい」とも常々語っている。外国人史上初となる偉業へ残り150本とした現在も、左翼の守備と両立しながら、2000安打を成し遂げたい考えを持ち続けている。

 巨人の保留者名簿から外れる12月2日にラミレス争奪戦がスタートする。横浜DeNAは、他球団のどこよりも先に、速攻でアプローチする構えだ。ロッテやオリックスなどの複数球団も交渉に乗り出す意向だが、ラミレスが新天地を選ぶ際の「打って守ってチームを強くできる」というすべての条件が合致するのはDeNA。新生ベイが最有力候補といえる。“巨人のラミちゃん”から「横浜・ラミレス」の電撃誕生へ、秒読み段階に入った。

 ◆監督就任確実の工藤氏「1週間以内に決める」
 D社が所有する新球団の監督就任が確実となった前西武投手の工藤公康氏(48)が、NHK横浜放送局でラジオの公開収録に参加。自身の現役続行に関して「1週間以内には決めなきゃいけない」と明かした。横浜からのオファーについては「まだ話はない」としながらも「ベイスターズが強くなってほしい、心の底から強くなってほしいと思っている。その機会があればうれしい」と“横浜愛”を強調していた。

 ◆アレックス・ラミレス(Alex Ramirez)1974年10月3日、ベネズエラ生まれ。37歳。サンアントニオデパウラ高から92年、インディアンスに入団し98年メジャーデビュー。00年途中にパイレーツへ移籍。01年からヤクルトでプレー。08年に巨人移籍。MVP2度のほか首位打者1度、本塁打王2度、打点王4度獲得。180センチ、86キロ。右投右打。既婚。
巨人を退団するラミレスが26日夜に再来日。交渉解禁となる12月2日にも横浜との交渉に挑む