シリア戦、U―23日本代表の敵は劣悪ピッチ状態…五輪最終予選

【アンマン(ヨルダン)3日】U―23日本代表は3日、当地での初練習をアンマン市内のテプタスタジアムで行った。C組2位の強敵シリアとの決戦会場となるキングアブドラ国際競技場はピッチがぬかるんでいる上、この日夜にはヨルダンリーグの試合も開催され、国際試合2日前以降は試合を禁じるFIFA規約に抵触。勝てば5大会連続9度目の五輪切符に王手がかかる試合が、劣悪なピッチで行われることが必至となった。

 ゴール裏に水が池のようにたまり、ピッチは至る所がぬかるんで芝はボコボコ、粘土質の地面はヌルヌル。3日のキングアブドラ国際競技場のピッチは大荒れだった。2日夜にヨルダンリーグの試合が行われ、ピッチ上にはゴミも散乱。ヨルダン協会関係者はさらに、「今夜もリーグ戦が開催される」と語った。

 日本協会関係者は2日の昼の段階で「雨の影響でピッチに水たまりができている。水はけは悪いなんてもんじゃない。水はけがないんだよ」とこぼしていた。その状態から2夜続けて試合を行うのは暴挙と言える。

 FIFA規約では、国際試合の48時間前以降は同会場での試合を禁じている。協会関係者は「2日はまだしも、3日の試合は規約違反。抗議をしている」とヨルダン協会にリーグ戦の中止を申し入れたが、聞き入れられなかったもようだ。

 パスワークでリズムを作る日本は、荒れたピッチは苦手。関塚ジャパン発足後の初黒星を喫した昨年2月の敵地クウェートA代表戦は0―3と大敗した。パワーがモノを言うぬかるんだピッチ。フィジカルの強いシリアを相手に最も避けたかった状態だ。DF浜田は練習後、「グラウンドに合わせた戦い方が必要になる。つなぐというより、縦に速いサッカーをしないと」と警戒した。

 地面が粘土質で、滑りやすいピッチで行われた1月31日のU―23イラク代表との練習試合では、MF清武が足を滑らせて左足肉離れを起こし、離脱する悲劇が起きた。今回はそれ以上に負傷と隣り合わせの危険な環境。シリアの政情不安で中立地開催となった一戦。開催国の当事者意識のなさが、日本にとって仇(あだ)となりそうだ。