ニコチンがドーピング違反に? 規制案にゴルファー反発

世界反ドーピング機関(WADA)が、たばこなどに含まれるニコチンの規制に乗り出した。来年初めから適用される新しい禁止薬物リストには入らなかったが、どの程度使われているかを調べる「監視プログラム」に加えた。調査結果によっては将来、禁止リストに入る可能性もある。2016年リオデジャネイロ五輪で正式競技になるゴルフでは喫煙する有力選手も多く、議論を呼びそうだ。

 ニコチンは興奮剤に分類される。AP電によると、スイスの公認分析機関が1年かけて調べた報告書をWADAに提出。覚醒作用や体重減少効果があるほか、脈拍や血圧、血糖値などを増加させるという。43競技の2185人の尿サンプルを調べた結果、約15%からニコチンが検出された。

 一般の平均値25%よりは低いが、アイスホッケー、スキー、ラグビーなど競技によってはかなり高く、2009年のアイスホッケー世界選手権で調べたときは、半数近くからニコチンが検出された。報告書によると、特に無煙たばこは呼吸器系に悪影響もなく、乱用の可能性があるという。

 WADAは「喫煙者を狙い撃ちする意図はない」というコメントを出しているが、愛煙家のゴルファーは反発しそうだ。7月の全英オープン覇者、ダレン・クラーク(英)は「ゴルフのスコアを伸ばすと証明されている薬物はない」とメディアに語っている。クラークやミゲルアンヘルヒメネス(スペイン)はコース内でも頻繁に喫煙することで知られている。(酒瀬川亮介)
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