「チャラ男」大津2戦連発!関塚日本救った

サッカー・ロンドン五輪男子アジア最終予選(27日、U−22日本2−1U−22シリア、東京・国立)5大会連続9度目の本大会出場を目指すU−22(22歳以下)日本代表が、U−22シリア代表に2−1で辛勝。3連勝の勝ち点9でC組首位に立った。シリアが同6で2位。前半終了間際にDF浜田水輝(21)=浦和=が先制点。後半に追いつかれたが、同41分にMF大津祐樹(21)=ボルシアMG=が決勝点を決めた。最終予選は12チームが3組に分かれ、各組1位が五輪出場権を獲得。2位はプレーオフに回る。年内の予選はこれで終了し、日本は来年2月5日に敵地で再びシリアと対戦する。

「運はいい。持ってますね」と胸を張っていただけのことはある。勝ち点6で並ぶシリアとの首位攻防戦は、1−1のまま後半41分が経過。ホームでのドローは許されない状況を、MF大津が救った。DF比嘉の左クロスに、遠いサイドからダイビングヘッド弾。豪快にネットを揺らし、聖地・国立の歓声を浴びた。

 「あそこに入れば、ボールが来る感覚はありました。短い合宿でしたが他人の長所はつかんでいたので。ゴールへの貪欲さですね」

 茶髪にピアスで笑った。20日にドイツから途中合流し、22日のバーレーン戦(◯2−0)で先制弾。そして、この日も劇弾再び。A代表に専念したMF清武(C大阪)らを欠く布陣ながら、C組首位を導いた。

 7月にブンデリーガ・ボルシアMGに移籍。当初はオファーが信じられず「オレでいいの?」。しかし、自身が思うよりも周囲の評価は高い。昨年は右太もも裏肉離れで離脱し、今年1月にブラジル・サンパウロ州の医療施設で厳しいリハビリ生活を送った。実は、ここはブラジル代表MFカカらが通う“VIP専用”。素質を見込む柏・ネルシーニョ監督が約300万円に値切りし、日本人初の患者として記念プレートが飾られた。

 明るい外見と言動から愛称「チャラ男」。08年に東京・成立学園高を卒業し、柏の初練習に茶髪で現れた。「なんだ、その髪は!」と当時の石崎信弘監督に怒られても、「これが地毛っす」。屈託のなさが憎めない。

 渡独後はホームシックにかかり、「日本に帰りたい」とDF酒井宏に国際電話でため息。それでも週3回の筋トレに励み、体重は4カ月で2キロ増えた。「肉も多めに食べました」。日々の練習はドイツ代表らと骨がきしむボールの奪い合い。一転して、肉食系男子に急成長した。

 「ドイツでは毎日が戦い。これぐらいのパフォーマンスは当然。挫折したことで、今がある」

 7月23日、国立で行われた鹿島戦が日本のラスト試合だった。そこで号泣した男は海外で生まれ変わり、聖地で凱旋(がいせん)ゴールを決めた。新ヒーローの登場で、ロンドンへの道が開けた。