元GHC王者の力皇が年内で引退「悔しさはないですね」=ノア

プロレスリング・ノアの第7代GHCヘビー級、第4代&第14代&第19代GHCタッグ王者の力皇猛が年内での引退を表明した。
 力皇は頸椎ヘルニアにより昨年5月より長期欠場していたが、27日のノア・有明コロシアム大会に登場し、リング上から「昨年よりケガにより欠場し、復帰を目指して頑張ってきましたが、首の状況が試合をできる状況にはほど遠く、今年限りでの引退を決意しました。皆さんには長い間ご声援いただき、ありがとうございました」とあいさつした。

 力皇は大相撲で西前頭四枚目まで上り詰めた後、プロレスに転向し、00年5月に全日本プロレス後楽園ホール大会でデビュー。02年2月に森嶋猛とのWILDIIでGHCタッグ王座を獲得すると、その後も07年に秋山準と、09年にモハメド ヨネと共に戴冠した。
 05年3月には当時“絶対王者”と呼ばれた小橋建太のV14を阻止し、GHCヘビー級王座を初戴冠した。

 リング上で引退表明後、かつてのパートナーであったDISOBEYのモハメド ヨネ、WILDIIの森嶋猛と握手をかわし、リングサイドで試合を観戦した力皇は「引退を決意したのは先月の定期検査を受けてから。今後についてはいろいろ考えているので、また改めて報告したい」と語り、引退セレモニーだけでも、何らかの形で行いたいと語った。
 以下は力皇との一問一答

――今日は森嶋選手がWILDIIのテーマ曲で入場したことで、力皇選手も感じるところはあったのではないかと思いますが?

力皇 そうですね。ボクもあの曲が鳴った瞬間に(苦笑)。まぁヨネさんが入場した時からもう泣いてしまいましたけど、本当に森嶋さんがWILDIIの曲で入場してくれたのは懐かしくもあり、感謝の気持ちでいっぱいですね。

――DISOBEYとして一緒に戦ったヨネ選手とWILDIIのパートナーである森嶋選手との対戦を間近で見ていたわけですが?

力皇 解説席に座っていましたけど、場面場面が思い浮かんできて……森嶋さんとタッグでチャンピオンベルトを獲った時に、多分中西&吉江さん組とやってますし、斎藤さんともタッグで斎藤さんにケガをさせてしまった試合とかもありましたし(苦笑)。あとは(GHCシングル王座の)初防衛戦の相手も斎藤さんでしたし。いろんなことを思い出してしまいました。

――ファンの記憶に残る試合と言えば、やはり絶対王者と言われた小橋選手の連続防衛を止めた試合になるかと思いますが?

力皇 そうですね。本当にボクにとってあの試合は大きかったですし、三沢さんと組んで小川直也&村上組とやった試合もボクの中では、それによって転換期になった部分がありますからね。やっぱりその2つの試合がボクにとっては大きいですね。どっちが一番ということはないですけど。

――引退を決意されたのはいつくらいなのでしょうか?

力皇 引退を決意したのは先月、定期検査を受けまして、状況が良くなっていないということもありまして、プロレスをやるというレベルの話ではなく、一人の人間としてどうやって生きていくか。日常生活をやっと普通にできるようになりましたんで、それをいかにキープしていくかという話だったんで。やっぱりプロレスをやるっていう話ではなかったんですね。実際問題……今までは少し休んで良くなっていたんですけど、今回はギリギリのところで全く良くなっていなくて、安静にしていてもむしろ反応が悪くなっていってるという状況で、これ以上時間をかけても(復帰できるレベルでの回復は)難しいという事だったので、社長と話をして引退を決意しました。

――日常生活への支障というレベルでは、現在どのような状況なのでしょうか?

力皇 夜眠れないというのはもうしょっちゅうですね(苦笑)。首は痛いですし、首が原因なんでしょうけど。細かいことを言えばきりがないんですけど、昔の欠場した時に比べたら慣れてしまったのかもしれないですけど気にならなくなってるというレベルではあるんですよ。極端なことを言えば最初は箸が持てませんでしたからね。力が入らなくて箸が持てない。階段を登るのも手すりがなければ恐怖感がありましたしね。そういう部分というのは最近はなくなってきていたんで、良くはなっているのかなって感覚ではいたんですけどね。でも検査ではなかなか……むしろ悪くなっていたんでね。これはもう決断するしかないっていう状況ですよ。

――このようなかたちでの引退ということで自分の中で悔しさはありますか?

力皇 一番の目標は復帰して……会場に行くたびに『復帰、待っています』と声をかけてくれるファンのために、元気な姿を見せられるというのを一番の目標にしていましたから。それができないというのが悔しさ、それが実現できなかった自分に対する悔しさ、腹立だしいというのはありますね。ただプロレスに関しては自分の中でも一所懸命やっていましたから。だから首がこういう状況になった結果ですからね。その辺は一所懸命走ってきた結果ですからね。それに関しては悔しさはないですね。

――やり残した事はない、と?

力皇 そうですね!はい。

――今後については?

力皇 今後についてはいろいろ考えてまして、具体的にはあるんですけど、まだかたちにはなっていないので。もう少し経ってかたちになったら、また皆さんの前でご報告させていただきます

――年内で引退と言っていましたが、区切りの日というのは?

力皇 区切りの日? まぁ今年の契約をもってという感じだと思いますけど、ただ来年引退試合については『1試合だけでも』という希望はあったんですけど、それも良くないと。何かあったら大変だと。来年もし試合ができなくてもセレモニー的な感じで何かやろうとは言ってもらえているんで。会場はまだ日程を見て決めようかと。

――もし試合ができるとしたなら、頭の中でイメージしているカードは何かありますか?

力皇 いやいや(苦笑)。それはないですけど……やっぱりヨネと組みたいですよね。まぁこれで機会がなくなるわけじゃありませんから(笑)。まぁこれだけ会社から時間をいただきましたから、ボクとしてもこれ以上甘えるわけにもいかないなという気持ちもありますし、どこかで決断しなくてはいけないなと思いましたから。