「成長の年にしたい」事故死した女性レーサー坂井宏朱さん、最後まで努力の人

 「できる限りのことを勉強して成長の年にしたい。1着を獲ることが目標」。千葉県の船橋オートレース場で死亡した坂井宏朱(ひろみ)さん(27)は11日に和服姿で東京・大手町のサンケイスポーツを訪れ、こう抱負を語った。

 OLからレースの世界に飛び込み、努力を重ねて44年ぶりの女性オートレーサーに。事故があったのも練習中、最後まで努力の人だった。

 オートレースの公式サイトなどによると、大学卒業後に旅行代理店に勤務していた坂井さんは平成20年、オートレースを観戦したことで「一目惚れした」。

 クラシックバレエ歴15年、チアリーディング歴3年。オートバイとは無縁の生活を送ってきた。訓練期間中には2度の落車に見舞われることもあった。しかし夢をあきらめずに練習を重ね、昨年7月30日のデビュー戦にこぎつけた。結果は8着と振るわなかったが、「この悔しさは一生忘れない」と前を向いた。

 目標は「ハンデなしで戦える選手になる」。最近は筋力強化のため、入浴や就寝のとき以外で0・5キロのバンドを足首につけていたという。

 12日夕方。最後となってしまったブログの更新では今年最初の練習の内容が書き込まれており、こうつづられていた。「明日も練習して、少しでも改善したいと思います」