川島が移籍の意思を固める「価値ある選手でいたい」 (1/2) ステップアップを目指し、リールス卒業へ

ベルギーリーグの年明け初戦、13位のリールスが2位のヘントを2−1で破る大番狂わせを演じた。今季、これまでの試合内容を振り返ると「あと5試合でもっと勝ち点を稼げるはずだった」(サミー会長)と残念な取りこぼしが多かったリールスにとって、ヘント戦はやっとの思いでつかみ取った勝利だった。
 負傷やアフリカネーションズカップもあり、必ずしもリールスはベストメンバーとは言えない布陣だった。それでも押している時間帯、押されている時間帯での試合運びを使い分け、ひとつのチームとして機能していた。

 21分だった。リールスの最終ラインはヘントのストライカー、リュビアンキッチに切り崩され、最後はフリーとなったFWムボヨがGK川島永嗣と1対1になった。このシュートを川島はよく見極めてストップした。
 当たり前のようにチームのピンチを救った川島。しかし入団当初の川島は、このような突然訪れるピンチに戸惑って、先に前へ出ては墓穴を掘っていた。
「1年前は突然起こる状況に対する対応力がなかったと思う。今は去年1年をこっちでやっている分、こういう状況が起こっても冷静に対応できてるかなと思います」(川島)

 このセーブが功を奏し、26分にリールスはDFサイディのゴールで先制に成功した。後半早々、同点に追いつかれたリールスだったが、「失点した後でも慌てることはなかった」と振り返る川島の言葉通り、失点直後の大ピンチを除けばリールスがイニシアチブを握って戦い通し、83分にFWクラーセンが決勝ゴールを決めて金星を挙げた。
「今日は2位のチーム相手だし、リーグの中でもたぶん1番攻撃的なチームだと思うので、そういった意味では自分が立ち上がりにいい仕事ができれば、ゲームの流れも変わってくるのかなと考えていた。要所要所でうまく対応できたと思います」

■チームの中でも際立つ勝負強さ

 昨季のレギュラーシーズンの最終成績は14位。今季はここまで13位。順位はわずかひとつしか向上してないが、昨季が30試合で58失点、今季はここまで20試合で26失点と守備力の向上は著しい。

 その一方で残念なのは、得点力があまりに低すぎることだが、ヘント戦の勝利の陰に弱点を補って余りあるFW陣の奮闘があることも確かだ。この日、ストライカーを務めたエル・ガバスはヘントに押されている時間帯に前線で孤立し、複数マークを受けている不利な場面でもうまく最終ラインからのボールを引き出して、チームに落ち着きを与えていた。また、味方が疲れきっている試合終盤、エル・ガバスがシュートをブロックされたシーンでは、観客席の「何でシュートにはやるんだ」というため息を誘っていたが、すぐに守備に切り替え、戻りきれない味方のスペースを埋めていた。

 各自の守備意識の向上に加え、個性(エル・ガバスで言えば、前線で孤立してもボールキープできる能力)も発揮されることで、リールスはチームとして機能し、守備力アップにつながっていると思う。そんな中でも、川島の勝負強さは際立っており、いよいよリールス卒業を迎えてもいい時期になってきた。