呉越同舟の自主トレ、いかがなものか!ヤクルト宮本&巨人・坂本

2月1日のキャンプインを前に、プロ野球では自主トレが花盛り。最近はグアムなど海外も定番だが、気になるのは“呉越同舟”の自主トレだ。

中でも、巨人・坂本勇人内野手(23)が、ヤクルト・宮本慎也内野手(41)と合同自主トレを行ったことが話題になった。名遊撃手であり、昨季は三塁手としてゴールデングラブ賞を受賞した宮本が、坂本に守備の基本を伝授。昨季は守備の乱れ、特にスローイングに難のあった坂本に球界の大先輩が指導する。それだけなら“ちょっといい話”だ。

 だが、ペナントレースを争う同一リーグ同士の選手という観点からすると、疑問符が付く。球界ご意見番張本勲氏は、いつものテレビ番組で「宮本は偉いね。他球団の選手に対してアドバイスするなんて」と言いながら、坂本には「喝!」。その裏には、他球団のベテランに救いを求める甘さを叱責する気持ちが見え隠れする。

 一昔前は「チームメートもポジション争いのライバル。敵に塩を送ることはない。教えてもらいたければ見て盗め」というのが常識だった。

 日本ハムダルビッシュ有投手(25)と、日本代表の後継者と目される楽天田中将大投手(23)のコンビとなると、「次にメジャーへ行くのは田中か」という気持ちになる。

 米大リーグ、マリナーズイチロー外野手(38)と自主トレを続けてきたソフトバンク川崎宗則内野手(30)が、「イチローさんと同じチームでプレーしたい」という初心を貫き、マイナー契約ながらフリーエージェントマリナーズに移籍したから、なおさらだ。

 ペナントレースでは試合前の私語さえ禁止されている。トレーニングウエアだし、目くじらをたてることはないという意見もあるだろう。だが、真剣勝負を求められるのがプロの世界。ファンにいらぬ誤解を招かないためにも、こんな自主トレは自粛した方が賢明ではないか。(夕刊フジ編集委員江尻良文