“危ないクラブ”は追放!J2崩壊危機

 J2がヤバイ。今季節目の20シーズン目を迎えるサッカーJリーグは、ついに全国で40クラブ(J1が18、J2が22)に到達。しかし、J2クラブ間の“貧富の格差”はふくらむばかり。今季こそシーズン中に倒産するクラブが出てもおかしくない。


 Jリーグは今季から「クラブライセンス制度」を導入した。これはJリーグが各クラブに健全経営を求める「通信簿」である。

 3期連続で当期純損失を計上したクラブや、2014年度以降に決算が債務超過となったクラブには、ライセンスを交付しない、つまりJリーグから追い出すという過酷なペナルティーが待っている。

 実はすでに危険水域に入ったクラブがある。今季からJ2に昇格したばかりの町田ゼルビアと、ロアッソ熊本だ。

 町田ゼルビアは開幕戦に本拠地・町田市立陸上競技場の改築が間に合わず、ロアッソ熊本は11年度の赤字が7000万円にもなるとしてクラブの社長が「非常事態宣言」を発した。

 町田の失態には、温厚で知られるJリーグ・大東和美チェアマン(64)が「大変遺憾な問題。週明け(23日)以降、はっきりさせないといけないことがたくさんある」と珍しく語気を強めたほど。スタジアムを準備できない町田には、なんらかのペナルティーが課せられることも「十分あり得る」(Jリーグ関係者)という。

 22クラブもあるJ2の下位のクラブ経営は、どこも苦しい。昨季20クラブ中18位に低迷した横浜FCが今年45歳になるカズとの契約を毎年延長するのは、“カズブランド”に頼らざるを得ないからこそ。昨季J2から昇格し、いきなりJ1も制覇した柏レイソルは、親会社の日立の手厚い援助という特別な背景がある。

 ライセンス制度導入で、J2の下位のクラブの中には「倒産」という白旗をあげるところが現れても不思議はない。「J1、J2あわせて40クラブ」というのはJリーグ創設当時からの目標だったが、毎年いたずらにJクラブを増やした結果がこんにちの苦境を招いたともいえる。

 20シーズン目を迎えるJリーグは、人間でいえば成人式。今季こそ転換のスタートラインにしなければならない。J1、J2クラブをライセンスで選別し「いずれはイングランドのようなプレミアリーグを編成し、魅力あるリーグにしないといけない」という声はJリーグ内にもある。「プレミア化」はJリーグで早急に検討しないといけない大きな課題だ。

 ちなみに、世界リーグランキング(国際フットボール歴史統計連盟選定)でJリーグは25位。代表の世界ランクは日本の方が上位なのに、こちらのアジアNo.1は韓国Kリーグの18位という現実がある。20シーズン目のJリーグは3月に開幕するが、待ったなしの改革イヤーでもある。(夕刊フジ編集委員久保武司