阪神・上園、師弟トレードで楽天へ放出

師弟トレード!! 楽天が来季の先発候補として阪神上園啓史投手(27)を金銭トレードで獲得する方針を固めたことが7日、明らかになった。和田豊新監督(49)からかつての師、楽天星野仙一監督(64)へ、07年の新人王が譲渡される。

楽天が上園獲得を目指していることが明らかになった。就任2年目となる来季に巻き返しをかける、星野監督の強い要望だ。

 上園は2007年に武蔵大からドラフト3位で入団。シーズン途中から先発ローテ入りし、8勝(5敗)を挙げた。球速は140キロに届かないが、打者に向かっていく投球で勝ち星を稼ぎ、新人王に輝いた。気迫あふれる投球スタイルは当時阪神のシニアディレクターだった星野監督の目に焼き付いていた。

 08年以降調子を崩して、2軍暮らしが続き、今季はプロ5年目で初めて1軍登板なしに終わったが、まだ27歳。球団関係者によると、星野監督が、再生可能と判断し、ゴーサインを出したという。球団も故障などもなく、環境が変われば、十分に働けると判断した。

 星野監督は「生え抜きは大事だけど、純血だけでは強くならん。血の入れ替えは必要や」と補強の重要性を語ってきた。5位に沈んだ楽天に虎のDNAを注入し、常勝軍団を作り上げる。

 指揮官としてのすべてを学んだ、かつての上司へ“恩返し”となる。和田新監督はコーチ兼任だった01年限りで引退。星野監督が就任した02年からコーチ専任となり、指導者としての本格スタートを切った。田淵ヘッドコーチと二人三脚を組み、強力打線を作り上げた。野村前監督に学んだデータ野球を駆使した手法を、闘将はそのまま認めてくれた。03年には優勝。暗黒時代から一気に立て直した星野監督のやり方を側で学んだ。

 阪神側には交換要員はないが、虎で伸び悩む上園に活躍のチャンスの場を与えられる。さらに、五十嵐獲りなどを目指す上でも、支配下登録の選手枠を68人に減らせるメリットがあるため、要望に応じる構えだ。

 和田監督の就任が決まると楽天だった関川浩一外野守備走塁コーチ(42)が阪神に復帰した。関係者によると、2人の関係を知る星野監督の配慮もあったという。阪神楽天ともに今季はBクラスに終わり、来季は巻き返しの1年になる。目指すは日本シリーズでの再会。和田−星野の協調路線は今後も続きそうだ。