稀勢の里、親方急死に号泣…大関とり必ず!

 大相撲の鳴戸親方(元横綱隆の里=享年59)が急死した7日、弟子の関脇稀勢の里(25)は福岡市内で営まれた師匠の「お別れの会」に参列。自身も暴行事件への加担が報じられており、大関とりの九州場所(13日初日、福岡国際センター)を前にして、悲痛な表情だった。日本相撲協会の放駒理事長(63)=元大関魁傑=も会に参列。鳴戸親方の暴行疑惑などについて処分が検討されるはずだった8日の緊急理事会では、鳴戸部屋の後継問題を話し合う。

悲願の大関とりを前に、思いもかけない事態が待っていた。相撲界で父親代わりとなる師匠の死。受け入れがたい現実を前に、稀勢の里が悲痛な言葉を口にした。

 「(前夜に病院に駆けつけて)意識がない状態でした。とにかく早く起きてほしかったんで…」

 目を真っ赤に充血させ「お別れの会」の会場から出てきた。懸命に涙をこらえて対応したが、「思い出に残る言葉は?」と聞かれると、こらえきれずに号泣。支度部屋でも気丈に振る舞う和製ホープは、あふれる思いを抑えられなかった。

 地元の茨城県牛久市では中学卒業前に強豪校から声がかかった野球少年として知られたが、鳴戸親方の熱心な誘いを受けて平成14年に初土俵を踏んだ。厳しい稽古で知られる部屋で地道に鍛え、16年九州場所で新入幕を飾ると、日本人ホープとして期待がかかった。ようやくつかんだ大関へのチャンス。一気に駆け上がるつもりが、師匠に晴れの姿を見せることはついにかなわなかった。

 「今まで指導してもらったことを思い出して、一生懸命恩返しできるようにやるだけです」

 相撲以外にも見聞を広めるため、ボクシング観戦に連れて行ってもらったこともあった。入門から9年。青春時代を親方の指導の下で過ごし、ここまで成長した。

 「場所前なんで、何とかもう1度調整したい。恩返しできるように、指導してもらった相撲を取ること」

 2日発売の週刊新潮では、師匠の指示に従い暴行に加担したと報道された。ただでさえ、騒がしい中での大関とり。師匠の急死という最大級の逆風の中での挑戦となる。