<競泳・日本選手権短水路>男子百平 立石が日本新V 

短水路(25メートルプール)で争う競泳の日本選手権は11日、東京辰巳国際水泳場で男女計20種目の決勝などを行い、男子百メートル平泳ぎは立石諒(NECグリーン)が57秒20の日本新記録で優勝。昨年のこの大会で北島康介日本コカ・コーラ、今年は不参加)がマークした57秒34を更新した。女子百メートル平泳ぎでは鈴木聡美山梨学院大)が従来の記録を0秒54上回る1分4秒11の日本新記録で制覇。女子五十メートル自由形は予選で24秒84の日本新記録を出した萩原智子山梨学院大職)が決勝も24秒90で制した。男子二百メートル自由形の葛原俊輔(セントラル東戸塚)、女子四百メートル個人メドレー高橋美帆日体大)も日本新記録で優勝した。

 ◇北島超えでも「このままじゃ勝てない」

 五輪王者が持つ記録を破っても、男子百メートル平泳ぎを制した立石の笑顔は控えめだった。「狙ったのは56秒台。今年は北島さんももっと速いだろうし、このままじゃ勝てない」

 昨夏の世界選手権百メートルで決勝進出を逃して以降、後半の泳ぎに自信を失い悩んだ。今回はあえて「前半からテンポを上げて後半に苦しむレースをしよう」と積極性を意識した。50メートルの通過は短水路で自己最高の26秒93。後半に動作が少し乱れて目標の記録こそ逃したものの、失速を恐れて無難にまとめるレースからは脱却。「課題はクリアした」と内容には手応えも得た。

 昨年まで冬場の練習ではパワー強化や体格向上を重視したが、この冬は水中の練習を主体に、泳ぎの技術でも進歩を図っている。日本新記録でも喜ばないのは、更なる成長を信じるから。「もっと練習して、自信をつけて4月に臨みたい」。ロンドン五輪代表を決める長水路(50メートルプール)の日本選手権に向けて、自らを鼓舞した。【石井朗生】