城島、今季は捕手スタメン出場を断念

阪神春季キャンプ」(4日、宜野座

 城島健司捕手(35)が、今季、捕手としてのスタメン出場を断念する基本方針を固めていることが分かった。昨オフから和田豊監督(49)と何度も会談を重ね、痛めている右肘の医学的見解を踏まえた上で意見が一致。2012年はその打棒でチームの日本一に貢献する。

チームの優勝に貢献するために、最善策は何か‐。和田監督と城島は昨オフから何度も何度も話し合いの場を持ってきた。現状や医学的見解を踏まえ、両者で導き出した結論が今季、捕手でのスタメン出場を断念するという基本方針だ。

 要因となったのは2度手術を受けた左膝より、昨年6月にじん帯を損傷した右肘の状態。昨年10月末からリハビリメニューを組み、段階的に送球距離や強度を伸ばしてきた。ただ捕手の場合、盗塁阻止のためどんな体勢からでも瞬時に送球しなければならない。さらに持ち味である座ったままのけん制球など、野手と比べスローイングで肘に大きな負担がかかる。

 2日の練習後、城島は右肘の現状について「今はステップを踏んできちっと投げないといけない。今まではどんな体勢からでも投げられたけど、肩肘にやさしい投げ方をしないと。もうケガはできないし、失敗を繰り返すことはできない」と語っていた。ドクターサイドの意見では捕手としてフル出場すれば、再発の危険性は否めないという。

 一方、城島の打撃力は現有戦力の中でも大きな魅力。ペナントレースを勝ち抜くためにはその力と技術が欠かせない。さらにムードメーカーとしても、昨季終盤に城島の存在を求める声が首脳陣やチームメートから数多く上がっていた。

 今キャンプの城島は一度もブルペン入りしておらず、キャッチャーミットも手にしていない。守備練習は一塁中心だが、三塁ノックにも入っており、他ポジションでも監督の意向に沿う準備を進めている。

 一方で、和田監督は城島に対して、あくまでも捕手としての復帰を望んでいる。右肘の状態が上向けば当然、捕手として起用するオーダーも頭の中に描いている。

 指揮官はこの日、「現段階では絶対に捕手をしないわけではない。投げられるようになればやるし、開幕どうこうではない」。たとえ1%でも望みを捨てない考えを口にした。今回の方針は医学的な見解に基づいており、本人の感覚や今後の状態で覆る可能性はある。

 城島も指揮官の気持ちを理解している。だからこそ、開幕までに状態を上げるのは難しいか、との問いに「慌てない慌てない。まだキャンプ4日目。(新聞の)ネタには困ってないでしょ?」と言い残して、球場を後にした。すべてはチームの駒となって動くために‐。ジョーはいったん、キャッチャーミットを置く。